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           メール・マガジン

      「FNサービス 問題解決おたすけマン」

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    ★第138号       ’02−05−24★

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     ワン・バイ・ワン    

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●英語の格言に

 

「それだけで来る病気は良い病気」というのがありましたな。 不幸や

災難は<団体さん>でやって来る。 職場の問題も、一つが解決できず

にいるうち、次々と襲いかかって来てアップアップさせられる、、

 

時代劇の主人公なら快刀乱麻、バッサバッサと切り捨ててカッコイイが、

あれは演技だから? でも、昔の剣豪なら本当に出来たんじゃないかな、

 

と思うのは、TVの<超能力>番組で武術の達人が、束になってかかる

弟子どもをヒラリヒラリかわし、次々投げ飛ばしたりするから。 あれ

が全部ヤラセ、ということは無い、と思いたいな、、

 

同様、職場にも仕事の名人がいて、山積する難問をこともなげに一掃し、

爽やかな笑みと共に悠然と立ち去る、、てなこともあって良いのでは?

 

 

教祖の定義では、EM法は「管理職必須の<捌く>スキル」。 彼自身、

ヒラリバッサリやってるつもりらしかったが、間近にお仕えして15年、

そんな場面はついに拝見できませんでした。 紺屋の白袴、ですかね?

 

しかし<捌く>は Rational Process の実技そのもの。 即ち辞書には、

1)入り乱れたりからんだりしているものを解きほぐす。  2)鳥・魚

などを切り分ける。解体する。 3)扱いにくいものをうまく扱う、また、

道具などを使いこなす。 4)物事を手際よく処理する。 即ち

 

有形無形に拘わらず対象をバッサバッサ、まさに管理職かくあるべしと

いう行動ぶり。 そんな理想的行動は当然、理想的な思考から生まれる

はずですが、周りは混沌、問題の渦。 で、どう頭を働かせるべきか、

 

を解説するために私が引き合いに出していたのは、あの柳生宗矩が師と

仰いだ沢庵和尚の<不動智神妙録>。 その中に

 

 「、、不動智と申すも、人の一心の動かぬところ、、わが心を動転

  せぬことにて候。 動転せぬとは、ものに心を留めぬことにて候。

 

  ものに心を留むれば、ものに心を取られ、、、色々の分別が胸に

  候て、的の中、色々に動き候。、、留まらぬ心は動かぬにて候。」

 

気付いてひと目見るのは良い。 が、心には留めぬ方が良い。 それが

<不動>の意味。 では、何故そうすると良いのか。

 

 「たとえば十人して一太刀ずつ我へ太刀を入るとも、一太刀受流して

  跡に心を留めず、、」

 

心がとらわれないようにすれば、敵が10人なら心は10回働き、次々

応戦することが出来る。 敵の人数無関係。 逆に、特定の一人に心を

とらわれると、その相手の動きに誘われて心が動いて行ってしまい、

 

ほかの敵には応じられない、打ち込まれてしまう、、 それをどう身に

着けたか、サーモスタット屋も腰の定まらない部下に、「カラダは一つ、

焦っても始まらない。 目の前のことを一つずつ」とアドバイスしてた。

 

もちろんノンビリやれ、ではない。 すべきことを絞り、全精力を集中。

それを始末したら直ちに切り替え、次のに集中、、 ワン・バイ・ワン。

たださえ足りない力、散らしちゃいかんよ、、

 

経験から言えば、ダメなのに限って色々考えたがる。 妄想的、とでも。     

そんなのを「下手の考え、休むに似たり」と申します。 でも、だから

考えるな、と言っても始まらない。 質問で導き、順序よく考えさせる。

 

<ワン>をどれにする? それをどう始末する? それでどうなる?、、、

Rational Process 的に言えば、「まずSAしようぜ!」

 

*   *

 

似たようなアドバイスがメルマガで来ました。 まぐまぐID0000084386

「仕事ができる人。仕事ができない人」5月7日号。 

 

「一度にいくつもの事柄を考えることもまた不可能なのだろうか。、、、

私は、、、現実にいくつもの事柄を同時に処理している」のあたりでは

<ワン・バイ・ワン>が否定される感じでしたが、

 

「そのために私が考え出したコツ、、、は素早く頭を切り替えることだ。

実は、同時にいくつもの事柄を考えるとは言っても、厳密にはその瞬間

に考えていることは一つだけだ。 ただ、次の瞬間には別の事を考えて

いるだけなのだ。 そしてその次の瞬間にはまた別のことを考える。」

 

「これを続けていってできるだけ早く一つ目の案件に戻れるようにする。

そうするとほぼ同時にいくつもの案件について考えるということが可能

になってくるのだ。」 このコンピュータ的マルチタスク処理のコツは

 

武道の極意に似て、微分的<ワン・バイ・ワン>の実践。 比べると私

のは、スロー・ビデオに近い、かな?

 

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●EM法の集合研修は

 

教祖が自慢するほど<標準化>されていたわけではなく、講師の傾向や

受講企業の特性、さらには研修会場のしつらえによってずいぶん違った

ものになり得ました。 従って、講師の要件の一つは<柔軟な対応力>。

 

ハイライトはグループ討議で、その研修効果を高めるには「1グループ

は5〜6人、4グループ」、即ち、標準的には1回当たり20〜24人。

講義用大部屋1、グループ討議用小部屋4、計5室をご用意下さい、と

お願いしておりましたが、具合良く応じて下さるお客様ばかりではない。

 

某損保会社の若手責任者昇格研修は一挙二百名近く。 白兵戦が専門の

デキル連中だから、ケースも現実的な内容に変えてバシッとやってくれ。

一斉配転を控え、チンタラじゃ困る、、など特別注文付きの例外コース。

 

そういうのは「竹島に、、」と来るわけで、教材も私が即席に準備して

<各回約40名6グループ、毎週末3日間、5週連続>担当しました。

 

 

ただし、次の条件で。 全員立ち回り可能な大ホールを用い、受講者は

各グループの<島>に着席。 講義もそこで聴いて頂く。 それぞれの

<島>にキャスター付き黒(または白)板1台を配置。 受講者は各自、

解いて欲しい、あるいは技法で確かめたい業務テーマを必ず持参、、

 

あとはほとんど運動会、駆け回って過ごしました。 朝9時から夜9時

まで文字通り<立ち働く>のですから、<研修講師>とは健康法的職業。

 

幸い私はキカイ場育ち、声は大きい、足腰も強い。 <島>から<島>、

覗いては注文を付け、ヒントを授け、質問に答え、進行を促し、、それ

にしても、これほどバラバラの、しかも初見参分野のテーマに、

 

こうもテキパキ流暢に応じられるとはオレも大したもの、、と思わない

ではなかったし、私を崇める受講者がいても不思議ではなかったけれど、

間違えちゃいけない、していたのは単なる<技法の実践>。 つまり

 

<大したもの>はオレでなく技法自体。 八面六臂に対処しながら連想

したのは、たとえば将棋大会の<多面指し>。 口の字に配置した机の

外側には挑戦者がズラリ、内側には挑戦を受ける有段者一人。 

 

挑戦者が1手指せば、有段者は直ちに歩み寄って指し返す。 挑戦者は

長考、有段者は即応。 1対多数の勝負だが、有段者は悠々。 あれに

たとえると、私のはたった<6面指し>。 難しくはない。 尤も

 

各<面>には各数個のエリート脳がつながっており、ただの<6>じゃ

なかったが、こちらは技法有段者、<悠々>でした。 (アンケートに

「講師は我々を学生のように扱った」なんてお叱りもありましたがね)

 

*   *

 

有段者の強さは第一に定石の完全マスター、第二に実戦的な運びや流れ

のパターン的蓄積、第三にそれら知識の適切な応用、第四に気力・体力、、

 

集合研修<実務課題グループ討議>における講師の対応力も、同じこと。

技法自体を深く理解し、実際的応用の経験を積んでいなければならない

し、それらを受講者たちに提供するサービス精神も必要。 さらに

 

<6面指し>ともなれば切り替えが速くないと、、沢庵の<不動智>的

に心を用いないと、、 と秘伝めいて来ます。 たしかに武術の奥義は

主に<精神>を説くものですが、

 

Rational Process は<方法>論。 課題の設定はそれで良いか、まず

何を掴むべきか、次は何を、、 実に具体的です。 <6面>だろうと、

何を取り上げようと、途中からだろうと、まず着眼すべきは「いま何を

論じているんだ?」。

 

そのグループの<今の議論>が<それまでの運び>と適切につながって

いればOK。 で今、どんな情報が必要か? それをどう求め、<その

先>にどうつなぐか、などを少々助言したり励ましたり。

 

討議が停滞するのは主にコンテンツ論議に陥っているからで、その時は

プロセス上必要な情報に集中するようリードします。 それが理解され、

プロセスに沿った方向へ動き始めたら、長く留まる必要なし。

 

そして歩き出すやそのグループのことはすべて放念し、次のグループに

眼を凝らし、心を集中させ、、沢庵和尚になる。 これを繰り返しつつ

<ワン・バイ・ワン>に巡回していれば、

 

もとが彼ら自身の<仕事>ですから、かなり重たいテーマでも1時間半

ほどで説得力ある結論が出せます。 働いたのは受講者、機能したのは

技法のプロセス。 講師が誉められる必要は全く無いわけ、、

 

なのに感心して下さる(ことを教祖は喜ぶが)方にはお断り申し上げる。

「それは技法の正しい理解ではありません、<誤解>です、、」 

 

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●管理職さんが上記第二の<蓄積>に欠ける

 

ことは無いでしょうが、マネジメント有段者たるには、第一の<定石の

マスター>が大前提。  え?<定石>なんてあるのかね? ですか?

 

第三の<応用>、即ち<発揮力>は時に問題です。 「名選手必ずしも

名監督ならず」の恐れあり。 相手を読み、相手に通じさせなくちゃ、、

 

 

でも、ご心配なく。 Rational Process がマネジメント思考の<定石>

です。 ワーク・シートなら読み取り容易、説明も通じさせやすい。

 

手順自体が<ワン・バイ・ワン>。 「この段階ではこれに集中する」

の<一時一事>方式ですから、それを共通のツールとすれば、

 

誰とでも即座にワン・バイ・ワン関係を結ぶことが出来、<捌く>こと

が可能になる。 おお、快刀乱麻!

 

これで武術の奥義を究めた気分が楽しめそう、、 じゃありませんか?

                          ■竹島元一■

 

    ■今週の<私の写真集から>は、 ★<傍>観者★

 

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